むかし、ある村に良寛という僧がおった
その姿は、黒き衣に沈み、
言葉は少なく──
まばたきすら、悟りとともに削ぎ落としたかのような、底知れぬ眼差しを湛えていた
🌪️風が吹けば、
「良寛が山を歩いたのだ」と言われ──
🌩️雷が鳴れば、
「誰かが良寛の教えを破ったのだ」と噂されるほどだった
村の子どもたちは言う
「あの人に見られたら、心まで読まれるぞ…」
「近づいたら“無”にされる…」
そんな恐れられた存在だった
ある日のこと、
村の子が、杉の木に登って遊んでいた
やがて降りようとし、地面まで“あと一歩”
そのとき、木の根元に……良寛が立っていた
いつのまに⁉️
声は低く、風のない空気を切った

良寛
その一歩こそ、気をつけなさい
少年は動けなくなる
全身の血が、ピタリと止まったようだった

良寛
人は、“もう大丈夫”と思ったその瞬間に、
その身も、心も、崩すのです──
少年はごくりと唾を飲み、震えながら最後の一歩を踏み出した
そして──
良寛は、少年に背を向け、
静かにこうつぶやいた

良寛
……家に帰るまでが、遠足です
少年「…………え?😳」

良寛
べ、別に心配してたわけじゃないんだからなっ///
風が吹いた
木の葉がカサリと笑った
編集後記

どり
どーもぉ!どりです(^^)/
読んでくれてありがとう(^^)/
実話?
いいえ、どりの創作話しです。
良寛(りょうかん)
実在のお坊さんです。
家に帰るまでが、遠足です。
家に帰るまで気を抜かない様に。